エックス線装置を設置する際におさえておくべきこと6つ

放射線

こんにちは、カタサンです。

最近、X線装置を設置する機会があり、これについて調べる機会がありましたので、まとめておきたいと思います。

X線装置は、非破壊検査の用途等で使用し、便利な装置ですが、X線は人体に有害ですから、X線装置の設置に関しては、電離放射線障害防止規則などにルールが規定されています。

そんなX線装置ですが、今回は設置したいときに、おさえておくべきこと6点について説明したいと思います。(ほんとは、3つぐらいにまとめたかったですが…)

X線装置設置時におさえておくべきこと6つ

以下になります。

  1. 設置届の提出
  2. 放射線管理区域の指定
  3. X線作業主任者の選定
  4. 特別の教育の実施
  5. 定期的な被ばく線量の測定
  6. 定期的な健康診断

設置届の提出

設置届は、所轄の労働基準監督署へ提出します。

特に注意すべきなのが、「工事開始の30日前まで」です。

工事開始の予定日の30日前までに設置届を提出しないと、工事が開始できなくなってしまいます。

設置届は、労働衛生規則第86条で規定されており、様式は、労働安全衛生規則関係様式として、厚生労働省のHPより入手できます。

必要書類のリストを以下にまとめておきます。

写しと合わせて2部持参し、1部は提出、1部は受領印をもらって持ち帰りましょう。

届出書類の種類法令規定箇所
1様式第20号 放射線装置室設置届安全衛生規則第86条
2様式第27号 放射線装置摘要書安全衛生規則別表第7-21下欄
3放射線装置を用いる業務、製品および作業工程の摘要安全衛生規則別表第7-21中欄
4安全区域を示す図面(X線装置設置室の図)安全衛生規則別表第7-21下欄

念のために装置の仕様書も持参したほうがよいでしょう。

法令では定められていませんが、要求されることがあります。

細かい質問をされたときにも役立ちます。

ちなみに、私が届出したときは、提出を求められました。

放射線管理区域の指定

放射線管理区域とは、X線などによる被ばく量が、3か月間で1.3ミリシーベルトを超える恐れのある場所です。

非常に危険な区域なので、標識を取り付けたり、放射線の量を監視したりと、特に厳しい管理が必要なエリアとなっています。

設置届の必要書類の中には、この放射線管理区域を示す図面も添付する必要があるので、設置届提出の時点では必ず、放射線管理区域は指定することになると思います。

なお、X線装置には、外部にX線が漏れない分析機器等もあります。

この場合は、放射線管理区域が装置内部となり、必要な対応が軽減される場合があります。

X線作業主任者の選任

放射線管理区域ごとにX線作業主任者を選定する必要があります。

X線作業主任者の職務は要約すると次の7項目になります。

  1. 管理区域、立入禁止区域の標識が規定に適合して設けられるように措置をること。
  2. 照射筒およびろ過版が適切に使用されるように措置すること。
  3. 第12条(間接撮影)、第13条(透視)に規定する措置を講ずること。特定エックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用するとき、放射線を労働者が立ち入らない方向に照射し、または遮蔽する措置を講ずること。
  4. 放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。
  5. 自動警報装置(第17条第1項)がその規定に適合しているかを点検すること。
  6. 照射開始前および照射中、立入禁止区域に人がいないことを確認すること。
  7. 被ばく線量測定のための放射線測定器が規定に適合されているかどうかについて点検すること。

エックス線作業主任者は、X線作業主任者免許を有する者から選任する必要があります。

エックス作業主任者免許は、X線作業主任者試験に合格して必要な手続きを取れば取得できます。

特別の教育の実施

X線装置の操作者や保守作業者など透過写真撮影業務を行う者に、事前に特別の教育を実施する必要があります。

特別教育は、教育実施者は、必要な能力等を備えていれば、特に資格は必要ありませんが、科目、範囲、時間が定められており、この通りに教育を実施しなければなりません。

以下のような要件となっています。

科目時間
透過写真の撮影の作業の方法一時間三十分
エツクス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法一時間三十分
電離放射線の生体に与える影響三十分
関係法令一時間

定期的な被ばく線量の測定

管理区域に立ち入る作業者については、定期的な被ばく線量の測定が必要になります。

測定の方法は、被ばく線量測定用フィルムバッチと呼ばれるものを装着して、業務を行い測定します。

線量の限度値を比較して、作業者の被ばく状態を把握します。

定期的な健康診断

電離放射線障害防止規則では、六月以内ごとに一回の健康診断が求められており、定められた検査項目に従って、健康診断を行います。

まとめ

安全上必要な手続き等についても、装置メーカーは、かなり心強い味方になります。

彼らもプロなので、問い合わせるとかなり詳しく教えてくれます。

ぜひ利用しましょう。

あくまで、個人的な印象ですが、実施に苦労するのが特別教育です。

外部講習機関でもほとんど見つけられないでからです。

近くで受けられない場合は、上位資格のエックス線装置作業主任者を取得するか、社内での特別教育を実施することになるでしょう。

ちなみに、過去にX線装置を廃止する機会があったのですが、その際に所轄の労働基準監督署に確認したところ、特に必要な手続きはなかったです。

それでは、アンタマ!

関係法規等

電離放射線障害防止規則

労働安全衛生法第 88 条

労働安全衛生規則第 85 条、第 86 条、別表第 7

厚生労働省HP 労働安全衛生規則関係様式

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